令和6年4月1日から「サントリー東北サンさんプロジェクト シン・みらいチャレンジプログラム」の支援を受け、同年7月1日からは国土緑化推進機構の「緑の募金」の支援を受けて取り組んでいる地域づくり事業です

事業のねらい

 女川町の出島は東日本大震災前の465人(2010年国勢調査)から69人(2020年国勢調査)と宮城県の有人島では最も人口減少率が高い島です。昭和30年代には1,800人もの島民が住んでいましたが(「女川町誌」P.869)、その当時は島のいたるところに畑が広がり、里道を歩けば島のどこにでも行けて、どこからでも海が望める島でした。子供たちは島中を駆け回って遊び、里山の広葉樹や沢の水を有効に利用され、海には海藻が繁茂し、夏にはアサリの産卵で白く濁るほど多様な生物が息づく里海だったそうです。
 ところが、その頃に杉の植林が盛んに行われたせいもあって、現在では手入れのされていない荒れた人工林と耕作放棄地が広範囲に広がり、沢の水は枯れ、海には磯焼けが広がっています。
(磯焼けの原因は諸説ありますが…)
 「女川未来会議出島プロジェクト」はもともと島民有志とボランティアが作ったグループで、2019年から出島ストーンサークル(通称)やトレイルルートの開拓をしながら人工林の整備や景観づくりをしてきましたが、法人化後は令和5年7月からサントリーサンさんプロジェクトと国土緑化推進機構の支援を受け、活動を充実させてきました。さらに今年度からは、ルート周辺の整備だけではなく、島全体を人の手が入った里山として整備し、倒木や漁具等のゴミを取り除くことで沢の流れが少しでも回復させるとともに、海洋ごみの撤去などを定期的に行い、周囲の海が里海として少しでも豊かにしていくことを目標に、引き続き支援を受けながら取り組んでいます。
「里山づくり」+「里海づくり」=「里島創生」です!

「持続可能な地域のあり方」のモデルケースに


 今年12月19日に島民の長年の悲願であった本土と出島を結ぶ架橋が実現しますが、島民の多くは生活の利便性が向上することへの期待はあるものの、来島者の急増による治安の悪化やゴミの不法投棄などへの不安を強めています。
“「里島創生」に取り組む島”を来島する観光客にアピールすることでゴミの不法投棄等を未然に防止し、また、「里島創生」に興味のあるボランティアを呼び込み、出島のコアなファンを増やすことも期待できます。人口減少、少子高齢化が進む東北地方において、多くの方々と島の未来をともに作る過程を通じ、持続可能な地域のあり方のモデルケースとなることを目指していきたいと思います。